重石の効果
こんか漬けは多めの塩を使い、重石を載せて加圧して製造されます。
さて、この重石なのですが、こんか漬けの品質に対して大きな影響をもたらします。
重石の効果には、
①塩分の浸透を均一にする
②魚の余剰の水分や塩分を圧出する
③塩漬物の中の空気を追い出し、酸化を防ぐ
④魚を緊縮させて、締まりの良いものとする
⑤高温時の自家消化によって生成された栄養成分の逸出量を少なくする(なおこの栄養成分の中には、血圧上昇を抑える作用のあるペプチドが豊富に含まれています)
というような点が考えられます。
米糠の成分
こんか漬けに用いる米糠には、ビタミン類が豊富に含まれています。A(カロチン)、B1、B2、ナイアシン等です。そのビタミンは、漬け込んでいく過程で漬物に移行していくといわれています。
こんか漬けにおいて、糠は生糠をそのまま使用する場合がほとんどですが、その一部を煎り糠として配合する場合があります。それは、香りが良くなるからです。
糠には約20%の油分が含まれており、この脂はリパーゼの作用によって酸敗が急速に進むにつれ、酸化が高くなり、油臭・ロウ臭を帯びてくることによるからです。
麹の添加
こんか漬けには、糠に麹を混合する場合としない場合があります。石川県では麹を混合することが恒例のようになっていますが、その他の地域ではほとんど使用されません。
麹を使用する利点は、
①発酵を早める
②風味が良好となる。特に麹からの糖分(グルコース(ブドウ糖))によるもの
といった点にあると思います。
ただ、麹を使用したこんか漬けは、ひと夏を経るまでは良いが、それ以上保存すると麹からの糖分と魚体の熟成によって生成されるアミノ酸とによってメーラード反応を起こし、肉食が黒ずんで見栄えが悪くなる可能性があります。
唐辛子と防虫
こんか漬けには唐辛子も使用されます。これには防虫の効果があるといわれています。園芸などでは、他の作物と共に植えて虫害を減らす目的で栽培されたり、食物の保存に利用される事もあります。
また唐辛子には、ビタミンAとビタミンCが豊富なことから、夏バテの防止に効果が高く、また殺菌作用があり食中毒を防ぐとも言われています。
現在のこんか漬けにおいて、唐辛子の上記の要因よりも効果が大きいと思われているのが、生臭さを消す効果です。
そしてそれに付随する効果としましては、漬物の風味を良好にする点にあるのではないかと思っております。