米どころ百万石の御膝元
油与商店のある金沢は、かつて加賀百万石と称され江戸三百諸侯のうちで石高ナンバーワンだった加賀藩の中心地です。
三方を海に囲まれた能登半島、日本海に向かって開けた扇状地、そして南部の霊山白山と、変化に富んだ風土が生み出す多様な味わいの米に恵まれております。
油与商店は地元産のコシヒカリを使用した、糠や麹を使用しています。米どころの糠や麹に拘るからこそ、美味しい漬物が仕上がるのです。
糠や麹といった、油与商店の漬物に欠かせない素材は昔からの金沢の米文化に支えてこられたものです。
綺麗で豊富な水
石川県は水の綺麗な土地柄だけに名水・霊水を汲める所がたくさんあります。
金沢の水は、日本人に相性の良い軟水といわれ、お茶や紅茶などを入れたときに、その味を十分に引き出してくれます。また、料理では淡泊な日本料理に向いているといわれています。
また、金沢は「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるくらい、日本で有数の雨量が多い地域です。
水と先ほどの米といえば、酒ではないでしょうか。米どころである加賀平野と白山山系から流れ出る清水、そして雪が舞い寒い冬、金沢には美味しい酒が生み出される土壌があります。
金沢の酒の特徴としては、純米酒、吟醸酒などの品質の高い洗練された酒が多いことが挙げられます。
糠漬けには、魚の加工やさし汁であるいしるに美味しく豊富な水が不可欠です。
この水もまた、自然の力・恵みの為す業です。
豊富な能登塩
油与商店のある金沢市金石には、今もなお旧町名が20以上存在していますが、その一つに「御塩蔵町」というものがあります。北前船で有名な銭谷五兵衛の塩蔵が建っていた町です。
北前船の拠点であった金石には、多くの塩が運び込まれました。当時も能登から美味しい塩が流通していたのでしょう。
ミネラルをたっぷり含んだ海の恵み、塩。
この塩で漬け込むことが美味しさの秘訣です。
新鮮な魚
油与商店のある金石という町は、今も海の幸にあふれた港街です。犀川が日本海に面する金石港で水揚げされる「香箱かに」は、金沢が誇る甘味のあるズワイガニのなかでも、ブランド品として重宝されています。
また北前船の交易により、日本各地から魚が金石に舞い込んできたといわれています。
魚に溢れた金石から、近江町市場へと魚が運ばれたという歴史があります。
また冷蔵保存の技術が発達してないため長期にわたり魚の保存などのため、この地でこんかづけが発達していきました。
石川県の魚介類の生産額の3分の1は金沢港など金沢近辺の漁港で水揚げされます。但し地元で消費されるのは20%程度で、石川県全体の生産額でみても85%は県外で消費されます。
ちなみにニギス類、ズワイ蟹は全国1位の漁獲高で、イカ3位、ブリ4位となっています。
金沢の四季
海と山に囲まれた金沢は、四季がゆるやかに移り変わる街です。次々といろいろな花が咲きほこる春、暑さのなかにも緑がせせらぐ夏、紅葉が綺麗な秋、雪化粧が映える冬と、それぞれに魅力的な美を持っています。
なかでも気候に焦点をあててみた場合、夏の高温多湿・冬の寒さ・けれども雪国としては比較的温暖というのが金沢の特徴ではないでしょうか。
実はこの特徴が、金沢の漬物の味に大きな影響を与えるのです。
梅雨時期に微生物の力により、発酵が加速し商品の旨味や風味が急増していきます。
そして秋から冬に向かいひんやりとした季節に進むに従い、発酵の進んだ漬物はその自身の中に、自らが生み出した旨味を凝縮していくのです。
ただ、冬の時期は凍りつかない気候のため微生物は死滅することなく生き永らえ、次の発酵の季節をゆっくりと待ち焦がれます。
こうした金沢の気候により、漬物は格段と美味しくなるのです。